コーヒーの健康効果と悪影響と適量

2020年8月23日

普段おいしく飲んでいるコーヒーですが、健康にどのような影響があるのでしょうか。コーヒーの健康に関する効果とネガティブな影響について、医学的な論文を調べてみました。様々な研究れいを総合的に判断すると、コーヒーは健康に良いといえそうです。

コーヒーの成分と影響

カフェイン

コーヒーに含まれている成分(化合物)の代表といえばカフェインです。コーヒーが有害な飲み物というネガティブなイメージを持たれていた背景には、カフェインの存在があったのではないでしょうか。
実は、カフェインは摂り過ぎなければ心配ないというより、体に良いと言える効果もあります。

覚醒効果

カフェインには血流をよくする効果がありますので、適切に利用すれば健康にも良い効果が期待できます。

仕事や勉強の効率を上げる

コーヒーなど、カフェインが含まれている飲料を飲むことで、集中力が向上するという効果が期待できます。
また、脳の活動を活性化するという効果もあると言われています。

  • 集中力向上
  • 脳の活性化

という二つの効果によって、仕事や勉強の効率が上がる可能性があります。ここだという場面でコーヒーを飲んで、気分転換をするのはとても合理的といえそうです。

ポリフェノール

ポリフェノールとは、複数のとか、沢山の、という意味の「ポリ」がついたフェノールです。植物が光合成で作る成分のうち、複数のフェノール性ヒドロキシ基を持つ分子の総称です。健康に良いとしてよく耳にするカテキン、フラボノイド、イソフラボンなどもポリフェノールの仲間で、赤ワインやコーヒーなどの渋みや苦味の成分です。

クロロゲン酸

コーヒーに含まれるポリフェノールに「クロロゲン酸」があります。クロロゲン酸には様々な健康高があるとして、学術論文で報告されています。

  • 抗酸化作用が強く、老化・肌荒れ・癌・活性酸素を抑制する
  • 中性脂肪の蓄積を抑えて脂肪肝を予防
  • 糖新生を抑制して糖尿病を予防

コーヒーオイル(コーヒー・ジテルペン: カフェストールとカーウェオール)

コーヒーに含まれるオイルにも、健康効果があるとされています。コーヒーオイルはカフェストールとカーウェオールという化合物で、これらについても様々な研究が行われて学術論文で報告されています。

メリット

抗癌作用がある

カフェストールとカーウェオールを摂取すると、いくつかの種類が癌の発生を抑制することがわかっているそうです。

デメリット

LDL(悪玉)コレステロールを上昇させる(ただし一過性)

反対に、カフェストールとカーウェオールのデメリットとして、肝臓でのコレステロール代謝酵素の働きを抑制してしまい、血液中のLDLコレステロールの値を上昇させてしまうという作用が知られているそうです。ただし、この反応は短時間の一時的なもので、長期的な影響はないとされていて、高脂血症に影響するなどの心配はないと考えられているそうです。

コーヒーオイルが多い淹れ方

コーヒープレス(フレンチプレス)が、最もコーヒーオイルが多く含まれる淹れ方になります。プレスだとオイルが多い分、香り高いコーヒーになると言われています。

コーヒーオイルが少ない淹れ方

ペーパーフィルター・ネルドリップが最も少ない淹れ方で、金属フィルターのドリップが次いで少なくなります。特に、ペーバーフィルターはほぼ完全にコーヒーオイルが除かれているそうです。

コーヒーの適切な量

基本的には健康に良いということが判ったコーヒーですが、どれくらいの量を飲めば良いのでしょうか。

研究者や医師によっても意見は異なりますが、少ないとコーヒーの健康効果が得られないし、多すぎるとカフェインの悪影響があるのではないかと心配されます。

多くは、1日あたり3〜5杯、または4〜8杯といった量がオススメされているようです。

コーヒー1杯の量は何ml?

カップによってもコーヒーが入る量が異なるでしょうし、何杯と言われてもわかりにくいですよね。

基本的に、コーヒー1杯は 150ml を基準にしているようです。

3杯だと450ml
5杯だと750ml
8杯だと1,200ml(1.2L)

スタバのカップのサイズ

Short(ショート)240ml
Tall(トール)350ml
Grande(グランデ)470ml
Venti(ベンティ)590ml

Venti 2杯で1,180mlですね。

研究論文

コーヒー

コーヒーの健康効果に関する論文です。コーヒーを飲むことが、結腸癌の減少に関係していると方向くされているそうです。

Coffee, tobacco and alcohol as risk factors for cancer and adenoma of the large intestine
J OLSEN, O Kronborg – International journal of epidemiology, 1993

https://academic.oup.com/ije/article-abstract/22/3/398/674620

Coffee, tea, tobacco, and cancer of the large bowel.
JA Baron, MG de Verdier, A Ekbom – Cancer Epidemiology and Prevention …, 1994

https://cebp.aacrjournals.org/content/3/7/565.short

クロロゲン酸

クロロゲン酸の健康効果に関する論文です。高コレステロール血症のマウスにクロロゲン酸を含む餌を与えたら、血液中のLDLコレステロールが減少して動脈硬化のリスクが下がったといった内容の報告がされています。

Chlorogenic acid exhibits cholesterol lowering and fatty liver attenuating properties by up-regulating the gene expression of PPAR-α in hypercholesterolemic rats induced with a high-cholesterol diet
Chun-Wai Wan , Candy Ngai-Yan Wong, Wing-Kwan Pin, Marcus Ho-Yin Wong, Ching-Yee Kwok, Robbie Yat-Kan Chan, Peter Hoi-Fu Yu, Shun-Wan Chan
Phytother Res. 2013 Apr;27(4):545-51. doi: 10.1002/ptr.4751. Epub 2012 Jun 6.

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22674675/

Chlorogenic acid reduces liver inflammation and fibrosis through inhibition of toll-like receptor 4 signaling pathway
Haitao Shi, Lei Dong, Jiong Jiang, Juhui Zhao, Gang Zhao, Xiaoyan Dang, Xiaolan Lu, Miao Jia
Toxicology. 2013 Jan 7;303:107-14. doi: 10.1016/j.tox.2012.10.025. Epub 2012 Nov 9.

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23146752/

Chlorogenic acid stimulates glucose transport in skeletal muscle via AMPK activation: a contributor to the beneficial effects of coffee on diabetes
Khang Wei Ong, Annie Hsu, Benny Kwong Huat Tan
PLoS One. 2012;7(3):e32718. doi: 10.1371/journal.pone.0032718. Epub 2012 Mar 7.

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22412912/

Comparative and combined effect of chlorogenic acid and tetrahydrocurcumin on antioxidant disparities in chemical induced experimental diabetes
Leelavinothan Pari, Krishnamoorthy Karthikesan, Venugopal P Menon
Mol Cell Biochem. 2010 Aug;341(1-2):109-17. doi: 10.1007/s11010-010-0442-5. Epub 2010 Mar 26.

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20339905/

ジテルペン化合物

カフェストールとカーウェオールが、癌の抑制に関わっていることが報告されています。

Potential chemoprotective effects of the coffee components kahweol and cafestol palmitates via modification of hepatic N‐acetyltransferase and glutathione S‐transferase activities
Wolfgang W. Huber Candee H. Teitel Brian F. Coles Roberta S. King Frederick W. Wiese Keith R. Kaderlik Daniel A. Casciano Joseph G. Shaddock Gerard J. Mulder Kenneth F. Ilett Fred F. Kadlubar
First published: 06 October 2004 https://doi.org/10.1002/em.20052

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/em.20052

Aberrant crypts as a biomarker for colon cancer: evaluation of potential chemopreventive agents in the rat.
M J Wargovich, C D Chen, A Jimenez, V E Steele, M Velasco, L C Stephens, R Price, K Gray and G J Kelloff
DOI: Published May 1996

https://cebp.aacrjournals.org/content/5/5/355.short